「洗顔は1日何回するのが1番いいんだろう」
「ベタベタするから何度も洗いたい……」
「そもそも洗顔料って朝もつけるべき??」
肌に悩む男性には、どれも気になるポイントですよね。
2021年のアンケート調査によると、男性の平均洗顔回数は「1.68回」。
洗顔料については「毎回使う」「夜だけ使う」と答えた人がほぼ同じくらいでした。
かなりバラつきがありますし、迷う男性が多いのも当然かもしれませんね。
そこで今回は「本当にベストな男性の洗顔回数」を科学的に考察してみました。
記事を読めば「あなたにぴったりな洗顔回数」と「たくさん洗いたい時の負担のすくないケア」についてわかります。
洗顔不足や洗いすぎは、肌トラブルにつながってしまうので注意が必要。
ばっちりチェックして、正しいやり方で清潔感のある肌にととのえていきましょう♪
ハダミス
年間30種以上の化粧品をためす「メンズコスメ」の専門家。スキンケアマイスター・美容薬学検定1級などの資格を持つ。プロフィール詳細
男性の洗顔頻度は「洗顔料をつかって1日2回」+α がベスト
結論からいうと、男性は以下の回数で洗顔するのがベストです。
- 洗顔回数は1日に「2回」
- 朝と夜のタイミングでどちらも洗顔料をつける
- 昼や寝る前にケアしたい人は「洗顔シート」をつかう
1日2回の洗顔をすすめる理由は「男性の皮脂(ひし)量」と「肌のバリア機能」にあります。
まず、男性の皮脂はとても多いです。
有名な化粧品メーカーであるポーラ化成の研究によると、男性の皮脂量はなんと『女性の約3倍』という結果に。
皮脂は悪者ではありませんが、酸化(さんか)したり量が多すぎると肌トラブルの原因になります。
この「酸化」とは、かんたんにいうと酸素に長い時間ふれて劣化することです。鉄がサビたりするのも同じ現象ですね。
皮脂によって起こる肌トラブルとしては、以下のようなものがあるよ。
- ニキビ
- 毛穴目立ち
- テカリ、べたつき
- 炎症(赤み、かゆみなど)
- 匂い
上記のような肌トラブルを防ぐために、よごれた皮脂は毎日適切に落とす必要があります。
女性の約3倍ともいわれる男性の皮脂よごれを落とすには、最低でも1日2回の洗顔は必要だといえるでしょう。
でも、それなら「3回」とか「4回」洗ってもいいんじゃないですか?
洗顔のしすぎも肌の負担になることがわかってるんだ。
洗顔をすると、よごれだけでなく肌をまもる「悪者ではない菌」や「保湿成分」なども一緒に流してしまいます。
そのため、洗う回数が多くても肌トラブルの原因になってしまうんですね。
2010年に行われたスキンケアの研究*1では、対象者が女性ではありますが「ニキビのある人は洗顔料の使用頻度が高い」というデータもあるくらいです。
オイリーな男性でも、「3回以上の洗顔」はちょっとリスキーかもしれませんね。
- 皮脂が多いのでしっかり洗いたい
- 洗いすぎも肌のバリア機能を弱めてしまう
上記をかんがえると、現時点では男性の洗顔回数は1日2回がベストだといえそうです。
その肌悩み、洗顔回数が原因じゃないかも?
洗顔の回数も大切ですが、あくまで1つの要素に過ぎません。
ほかのスキンケアがまちがっているせいで、「ニキビや毛穴・ベタつき・乾燥」などの原因になってしまうケースもあります。
上記に心あたりがある男性は、「メンズスキンケアの基本のやり方3ステップ」を参考にしてみてください。
各スキンケアの必要性とやり方をわかりやすく解説しています。
ここからは「洗顔料の必要性」について。
そして「何度も洗顔したいときのケアの方法」についてもチェックしていきましょう。
1.男性は朝も洗顔料をつけて洗おう(スプレータイプがかんたん)
朝の洗顔の役割はおもに3つです。
- 寝ている間に出た皮脂をおとす
- 顔についたホコリやゴミを流す
- 汗を洗い流す
実は、寝ている間にも皮脂は分泌されます。
1974年に行われた皮脂分泌の動態に関する研究*2においても、睡眠中にたくさんの皮脂分泌が確認されています。
たしかに、兄も朝起きたら顔がベタベタするって言ってました。
顔についた「ゴミ」や「ホコリ」は水だけで洗い流してもとれます。
しかし皮脂のことを考えると、基本は洗顔料を使わなければ不十分だと言えそうです。(ひどい乾燥肌だと、洗顔料がいらないケースもあるかとは思いますが)
花王の研究によると、水だけの洗顔では「約6割の皮脂しか落とせない」こともわかってるんだ。
とはいえ、朝はバタバタしていて洗顔料を使うのがむずかしい男性もいるかと思います。
とくに「泡立て」には時間をとられてしまいますからね。
そういうケースでは、スプレータイプの洗顔料なども活用してみるといいでしょう。
スプレータイプなら、自分で泡立てる必要がないうえに一瞬でもっちり泡を出せます。
「ポンプタイプ」もダメではないのですが、泡がゆる過ぎるものが多くあまりおすすめしません。
ギャツビーのスプレー洗顔などは、価格も安く使用感もそこそこなので選択肢に入れてみるといいでしょう♪
- 寝ている間にも多くの皮脂が出る
- なるべく洗顔料もつかおう
- 朝バタつくメンズにはスプレータイプがおすすめ
朝洗顔をやめて調子が良い人もいる?
朝の洗顔をやめたことで、肌の調子が良くなったという男性もたまに見かけます。
この場合は、そもそも「正しい洗顔」ができていない可能性が高いです。
先述のように乾燥肌の人は洗顔料を使わないのもありですが、全く洗顔をしないのは肌悩みを引き起こしやすいのでおすすめしません。
2.昼にもケアしたいオイリー肌の男性は「洗顔シート」を活用しよう
男性の中でも皮脂が多い人は、昼もケアしてあげましょう。
2009年に発表されたポーラ化成の研究では、洗顔の4時間後くらいから大幅なテカリの増加が確認されています。
朝・夜の洗顔だけだと12時間くらい空いてしまいます。
オイリーな男性であれば、なにかしらのケアが必要でしょう。
でも洗顔のしすぎは肌によくないんでしたよね……どうすればいんでしょうか?
そこで活躍するのが「洗顔シート」なんだ。
2014年に行われた「株式会社マンダムの技術開発メンバー」の研究*3によると、洗顔シートについて以下のような性質がわかっています。
- 「おでこ」の皮脂を取りのぞく効果は洗顔と同じくらい
- 「頬(ほほ)」では効果が半減
- 洗顔より肌の水分量を低下させない(角層水分量において)
つまり洗顔シートなら「ある程度の皮脂よごれを落としつつ、洗顔よりも負担のすくないケアができる」わけですね。
そういえば「あぶらとり紙」ではダメなんですか?
ダメではないよ。でもこの実験では、乾いた紙は「水分をふくんだシート」より皮脂よごれを落とせなかったんだ。
「朝洗顔をしても、お昼頃にはベタベタして気になる……」
そういう皮脂の多い男性は、ぜひ洗顔シートを活用してケアしてあげましょう♪
洗顔シートの正しい使い方やおすすめアイテムは「メンズ洗顔シートおすすめ5選!肌によくない使い方・注意点も解説」でくわしく紹介しています。
「ぬるま湯洗顔 + 保湿ケア」でもOK
負担のすくない方法としては「ぬるま湯洗顔」もおすすめです。
洗顔料を使わずに、32℃くらいのぬるま湯で顔を洗う方法ですね。これなら洗顔シートを新しく買う必要もありません。
ただし通常の洗顔と同じく、必ず洗顔後には化粧水や乳液による「保湿ケア」をしてあげましょう。
3.夜は洗顔料を使いていねいによごれを落とそう
夜の洗顔の役割は以下です。
- 日中にたくさん出た汗を流す
- 古い角栓や皮脂を落とす
- チリや排気ガスなどのよごれを落とす
夜の洗顔には、1日の活動で出たたくさんのよごれを落とす役割があります。
洗顔料を使いていねいに洗いましょう。
朝はスプレータイプもありですが、夜はやはり自分で洗顔料を泡立てたいですね。(スプレータイプはまだ種類もすくないし、コスパも低めなので)
泡立てずに洗顔する男性も多いですよね。泡立てないとよくないのでしょうか?
洗顔料は泡立てないと「本来の洗浄効果」を出せないんだ。それに肌をこすってしまうからダメージをあたえやすいんだ。
普段ゴシゴシ洗いをしているメンズは、この機会に泡立てるやり方へバージョンアップしましょう。
泡立てをむずかしく感じる男性も多いですが「洗顔ネット」を使えばかんたんです。
安いものなら100円均一にも売っていますし、かんたんに手に入りますよ。
泡立てが苦手な男性は「洗顔ネットの使い方」や「おすすめの泡立てネット」もチェックしてみてください。
そして、泡立てと同じくらい「洗顔料選び」も大切なポイントだよ。
そんなに高い洗顔料を買う必要はありません。
しかし「肌タイプ」や「肌悩み」にあわせた洗顔料を選ばないと、こちらも肌トラブルの原因になります。
ドラッグストアでなんとなく安いだけのアイテムを選んでいる人は「失敗しないメンズ洗顔料選びの方法」も参考にしてみてください。
- 1日のよごれを洗顔料でていねいに落とそう
- 洗顔ネットを使ってたっぷりの泡で洗おう
- あなたの肌にあった洗顔料で肌トラブルを防ごう
4.オイリーな男性も「寝る前の洗顔」は基本的にしない
最後に寝る前の洗顔についてです。
「皮脂が多い人」や「入浴のタイミングが早い男性」だと、
ベタベタして気持ち悪いから顔を洗ってから寝たい……
そう感じるときもあると思います。
しかし、先述した「洗い過ぎによる負担」を考えると寝る前の洗顔はしない方がいいでしょう。
- 入浴(洗顔)のタイミングをすこし遅めにする
- 夜更かしをしない
まずは上記のような対策をして様子を見てあげてください。
それでもベタついて気持ち悪ければ、ここでも「洗顔シート」や「ぬるま湯洗顔」を活用するのがいいでしょう。
そして補足しておくと「ストレス」や「生活習慣の乱れ」も皮脂が出すぎる原因につながるよ。
テカリやべたつきに悩んでいる男性は「男性の皮脂が出すぎる原因と対策まとめ」も参考にしてみてください。
洗顔以外でも、上手な皮脂のコントロール方法が身につけられるようになります。
- 肌への負担を考えると洗顔は △
- 入浴タイミングや寝る時間の調整をしよう
- それでもベタベタして気持ち悪い男性は「洗顔シート」や「ぬるま湯洗顔」で
メンズの洗顔回数「Q & A」
男性の洗顔回数について、よくある疑問をまとめました。
「Q & A 形式」で回答しているので、気になる部分があればタップして不安を解消しましょう。
Q.男性にもダブル洗顔って必要?
A.基本的に必要ありません。
「ダブル洗顔」とは、
- クレンジングでメイクを落とす
- 普通に洗顔する
という手順で2度洗いする方法ですね。
化粧をしない人はもちろん必要ありません。
そして化粧をする場合でも、1度に2回連続で洗うのはダメージが大きくすすめられていません。
メイクをする・しないに関わらず、基本的には1回の洗顔におさえましょう。
Q.洗顔は毎日するべき?
A.毎日洗顔しましょう。
「洗顔しない方がいい」という意見もたまに見かけますね。
しかし、よごれた皮脂や角栓を放っておくとニキビや毛穴目立ち・匂いなどの原因になります。
あまり動いてない日でも、欠かさず洗顔してあげましょう。
もちろん、「体調が悪い」とか「ケガをしている」などの理由があればお休みしてかまいません。
Q.乾燥肌だけど、洗顔の回数を減らしてもいい?
A.回数ではなく方法を変えてみてはどうでしょうか
乾燥肌の男性でも、1日1回の洗顔ではやはりケア不足になる可能性が高いと思います。
回数は減らさずに「朝は洗顔料をつかわずにぬるま湯だけで洗顔する」という方法が個人的にはおすすめです。
もしそれでも乾燥がひどいようなら、保湿ケアを見直してみる方がいいかもしれません。
以下の記事でも紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
Q.「中学生」や「高校生」でも洗顔の回数は同じ?
A.基本的には同じでいいと思います。
ただし、年齢によって「皮脂の量」や「肌の水分量」は変化します。
グラフのように、皮脂の量は「20代後半」に1番多くなるという研究データがあります。
逆に「10代の思春期の男子」の皮脂量はすくない傾向にあるんですね。
肌質は個人差も大きいのですが、もしベタつきなどあまり感じないのであれば以下のように調整してあげてもいいでしょう。
- 朝は洗顔料をつかわず「ぬるま湯だけ」で洗う
- 昼の洗顔シートによるケアはしない
また、学生のスキンケアについては別の記事でもくわしくまとめています。
大人とはスキンケアの方法がすこし違う点もあるので、あわせて参考にしてみてください。
Q.季節によって洗顔は変えるべき?
A.状態によっては変えるのが理想です。
たとえばポーラ化成の安全性・分析センターにより行われた研究*4では、春より冬の方が皮脂量がすくなくなるというデータもあります。
季節によってベストなスキンケアはもちろん変わってくるでしょう。
「夏は洗顔シートによるケアをするけど、冬は使わない」など、肌の状態と相談しながらあなたにベストなスキンケアをさがしてみてください♪
男性は「1日2回」の洗顔 +α を基本にスキンケアしてみよう♪
以上「男性における1日の洗顔回数」でした。
最後に大切な3つのポイントをまとめます。
もちろん、同じ男性でも「肌質」や「年齢」によってベストな選択は異なるかとは思います。
とはいえ、今回の考察は1つの目安として参考になるはずです。
洗う回数が多くてもすくなくても、肌トラブルの原因になってしまいます。
「1日2回」の洗顔を基本に、負担のすくないスキンケアをしながら肌を整えていきましょう♪
肌に負担をかけない「正しいスキンケア」をするために、以下の記事も参考にしてみてください。
※1 大江 昌彦 ほか 痤瘡寛解期における化粧指導とスキンケア製品によるProactive Managementの有用性 日本化粧品技術者会誌 44巻 2号 p.130 (2010)
※2 坂木 佳寿美 皮脂分泌の動態に関する研究 体力化学 23巻 4号 p117-124(1974)
※3 嶋田 格 ほか フェイス用拭き取りシート化粧料の使用による男性肌への影響について 日本化粧品技術者会誌 48巻 4号 p306-311
※4 見城 勝 ほか 皮脂組成の季節変動と肌状態・肌質の関係 日本化粧品技術者会誌 34 巻 4 号 p. 365-373(2000)